デザインするという事【本質は問題解決】大事なのは作り手の押し付けより使い手の使いやすさ

美容師を20年やって来て思う事
デザインするという事についてだいぶ考えが変わって来た

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それは
デザインをする上で「自分を出さない」という事
若い時はとにかく自分の個性を出そうとして、どれだけ自分というモノをそのデザイン乗っけるかを考えていた。


しかし今ではそこに自分というモノ乗っける必要がないということがわかった
大切なのは精度を上げる、質を高くする


その作られたものを使うのは、私ではなく相手だと言うこと

長く使ってもらいたければもらいたいほど余計なデザインはいらない便宜上の使い勝手、機能美、そういうものからデザインがあるべきで、自分の欲求を満たすためのデザインというものは結局独りよがりなモノになる

 

そしてこの自分を出さないという事にはもう一つメリットがある
自分の中から無理矢理生み出す必要がないということである


そこにあるべき姿、なぜそうするべきなのか、どうすれば問題を解決できるのか、
いろいろな情報やヒントを寄せ集めてデザインすることができる


それは自分の中からデザインを生み出すのと違い枯れることがない
人の欲求がある限りヒントは無数にあり、無くなることはない
デザインの本質とはもともとそうだったのであろう


人の悩みを解決し、生活を豊かにするデザイン

美容師として髪型を作る上でも同じで、美容師の意図や主張が表に出て来ない方がそれを毎日扱う側には使いやすい
馴染むのである

 

単体で見たときには人目をひく、そこそこ良いデザインだとしても、意外とすぐ飽きる
生活の中に入って他のデザインと共生できるモノのが長く付き合える

 

夏目漱石夢十夜に男同士のこんなやりとりが出てくる
運慶という仏師が木を削って仏像を作っている姿を見て
一人が感心して
「能(よ)くああ無造作に鑿を使って
思うような眉(まみえ)や鼻が出来る
ものだな」とつぶやく。

そうするともう一人の男がこう答える
「なに、あれは眉や鼻を鑿で
作るんじゃない。

あの通りの眉や鼻を鑿で木の中に
埋まっているのを、鑿と槌の力で
彫り出す迄だ。

まるで土の中から石を彫り出す
様なものだから決して
間違う筈はない」

 

これは私がデザインを作る上で理想としている事
何か上から降りてくる様な
そこにあるものを形にする様な
そんな風にデザインできる事が理想

 

現代でいえば、深澤直人さんや佐藤卓さんの様なデザイナーがイメージに近い

 

昔、先輩にアドバイスしてもらった言葉


「designの中にはsignが隠れてる。
そのサインを拾って、形にする事だ」


まぁダジャレなんですけどね
私にとっては今でも大切な言葉として心に刻まれています。

 

髪と話したくて、毎日髪の声を聞こうとしている今日この頃
まだまだデザインは奥が深い
深くなるほど原点に戻り、削ぎ落とされてシンプルになっていく気がする

もっと心をニュートラルにして
五感を研ぎ澄まして素敵なものを創っていきたい。

 

いつか運慶の様になれると信じて